NSAIDsの常用によって引き起こされる潰瘍をNSAIDs潰瘍とよぶ。胃粘膜保護に関わるプロスタグランジンを合成する酵素であるシクロオキシゲナーゼ‐1(COX-1)の阻害や、酸性環境下での直接粘膜傷害などを介して消化性潰瘍を引き起こす。胃以外にも小腸や大腸にも潰瘍を形成しうる。幽門部前庭に好発し、浅い潰瘍が多発する。出血・狭窄などの合併症が多いなどの特徴がある。予防は高用量NSAIDsの投与やNSAIDsの併用を避けること、選択的COX-2阻害薬(セレコキシブなど)の投与、PPIやH2RA、PG製剤の使用などがある。なお坐薬を用いた場合、血中に吸収されてから作用するため、上記②の直接作用は回避することができるが、潰瘍発生率に差はないとされている。
» 医療業務支援資料_20230706